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6/4-10 歯の衛生週間

歯周病は心血管系疾患を引き起こす──1998 年の米国歯周病協会による「Floss or Die(デンタルフロスか死か)」キャンペーン以来の“常識”に、米国心臓協会(AHA)が真っ向から異を唱えた。先月、AHAの機関誌に「500 本を超える研究データを解析した結果、歯周病が心疾患や脳卒中を引き起こすとは証明されていない」との公式声明が掲載されたのだ。さらに医師の治療であれ、日常的な歯磨きであれ、歯周病治療が動脈硬化性の心疾患を「予防する」効果も証明されていないとし、暗に歯周病ケア製品の誇大広告について警告を発している。

なぜ“常識”が独り歩きしたかというと「歯周病と動脈硬化症では喫煙や糖尿病、肥満など複数のリスク因子が重なる」点と「歯周病、動脈硬化症とも炎症性疾患に反応する検査値が上昇するため、データの切り分けがきっちりできなかった」から。AHAがこの種の「科学的声明」を出すのは極めて異例のことだ。どうやら一般人が歯周病予防を言い訳にして高血圧、喫煙、肥満などの因果関係が明らかなリスク因子から目をそらす傾向を危惧しているらしい。米国歯科医師会と世界心臓連合はこの声明を支持している。

皮肉なことにAHAの声明が発表された同日、台湾から50 歳以上の成人、2 万2000 人を対象に行われた追跡調査の結果が報告された。歯石/歯垢をクリーニングする頻度が高いほど、心血管系疾患の発症率が低下したというのである。AHAの声明に対するには少し権威が弱いが、歯と心疾患の関係に白黒が付くには時間がかかりそうだ。

専門的な証明はさておき、われわれは「食べる」喜びを知っている。家族や気の置けない仲間との食事は心身をリフレッシュし、舌の味わいや歯応え、喉ごしの快感は生きる力を刺激してくれる。
終末期がん患者や高齢者でも口から物を食べることが経過に好影響する。心疾患との関連以前に、歯の健康を守る意義は大いにあるのだ。