最新情報
 

ω3不飽和脂肪酸で全死亡・心血管アウトカム改善せず

ω3不飽和脂肪酸で全死亡・心血管アウトカム改善せず,大規模メタ解析

ω3不飽和脂肪酸については,欧米ではトリグリセライド(TG)レベル低下や心血管(CV)リスク改善を目的とした使用が認可されている一方,改善効果の有無について相反する報告がなされている。ギリシャ・イオアニナ大学のEvangelos C. Rizos氏らは,20試験を対象とした大規模なメタ解析の結果,治療薬,サプリメント,食事によるω3不飽和脂肪酸補充治療はさまざまな背景の患者グループにおいて全死亡,主要CVアウトカムを有意に改善させていなかったと発表した(JAMA 2012; 308: 1024-1033)。

日本人約1万9,000人を含む6万9,000人を解析
 Rizos氏らは,MEDILINE,EMBASEとコクラン中央登録から,2012年までの試験を検索し,全死亡,心臓死,突然死,心筋梗塞(MI),脳卒中についてω3不飽和脂肪酸の効果を評価したランダム化比較試験(RCT)を選び出した。ランダム効果モデルを用いて相対リスク(RR),絶対リスク減少(RD)を算出。異質性は,Q検定,I2検定により評価した。統計学的有意差のあるP値の閾値は,多重比較調整後で0.0063と見積もった。

 3,635の引用文献のうち20試験6万8,680人が解析対象となった。15試験4万9,134人はヨーロッパ系だったが,最も大きな試験は日本人1万8,645人を対象としたJELIS試験であった。食事指導をベースにした2試験以外はω3不飽和脂肪酸の治療薬・サプリメントを使用しており,平均摂取量は1.51g/日,治療期間の中央値は2年(最大6.2年)だった。13試験ではω3不飽和脂肪酸を心血管疾患(CVD)の再発予防に使用していた。

 死亡は7,044例あり,心臓死は3,993例,突然死は1,150例で,MI 1,837例,脳卒中1,490例だった。

 累積メタ解析の結果,ω3不飽和脂肪酸摂取と各アウトカムの間に統計学的に有意な関連はなかった(図)。RRは全死亡0.96(95%CI 0.91〜1.02,P=0.17,I2=12%),心臓死0.91(同0.85〜0.98,P=0.01,I2=6%),突然死0.87(同0.75〜1.01,P=0.06,I2=8%),MI 0.89(同0.76〜1.04,P=0.14,I2=35%),脳卒中1.05(同0.93〜1.18,P=0.47,I2=14%)だった。


 RDも,全死亡−0.004(同−0.01〜0.02,P=0.19,I2=38%),心臓死−0.01(同−0.02〜0.00,P=0.09,I2=78%),突然死−0.003(同−0.012〜0.006,P=0.49,I2=91%)MI −0.002(同−0.007〜0.002,P=0.23,I2=35%),脳卒中0.001(同−0.002〜0.004,P=0.46,I2=15%)で,有意なリスク低下はなかった。

CVD高リスクでも同様の結果に
 サブグループ解析を行ったところ,ω3不飽和脂肪酸の治療効果は盲検化試験でもオープンラベル試験でも認められず,再発予防試験,埋め込み型除細動器(ICD)使用者に限っても認められなかった。さらにメタ回帰分析の結果,ω3不飽和脂肪酸の摂取量と治療効果との間にも有意な関連はなかった。

 以上の結果,ω3不飽和脂肪酸補充は主要なCVアウトカムを改善することなく,それはまたCVリスクが高い場合でも同様であった。Rizos氏らは「ω3不飽和脂肪酸を日常診療において構造化された介入法として使用したり,ガイドラインで食事による摂取を推奨したりするための根拠は示されなかった」と結論付けている。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1209/1209033.html