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リンゴから開発された糖尿病薬

「1日1個のリンゴで医者いらず」とよく言われる。これが米国で新しい糖尿病薬として承認された日本の製薬会社が開発した薬の基本になっている。

この薬は「Invokana」との名称で米国内ではジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が販売する。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じたように、もともとは田辺製薬(現田辺三菱製薬)が開発したものだ。

田辺の研究員は、1835年にリンゴの木の皮から発見され糖尿病の治療に関する研究が100年以上続けられている「フロリジン」という化合物に目を付けた。フロリジンは他の果樹にも見つかっており、果物や野菜に多く健康に良いとされるポリフェノールの1種だ。

フロリジンはブドウ糖が腎臓で再吸収されるのを妨げる効果がある。つまりブドウ糖が尿とともに排出されやすくなるため糖尿病患者が血糖値をコントロールしやすくなる。フロリジンそのものは体に吸収されにくいため、田辺の研究員は分子構造を変える研究を続け、さらに2000年からはJ&Jと共同で初期段階の化合物の臨床試験を始めた。この研究は雑誌ネイチャー・レビューズ・ドラッグ・ディスカバリーで詳細に報告されている。

それから13年後、分子構造をさらに調整し、数千人の患者に臨床試験を行い、米国で新薬として承認を受けた。アナリストによるとこの薬は年間5億ドル超の売り上げが見込まれている。ただ、一部の医者は腎臓が弱い患者には安全上の問題があると警告している。

この新薬も、日本の科学者が自然の物質から開発した一例だ。昆虫の体内に生える菌から作られた多発性硬化症(MS)の治療薬「Gilenya」も田辺三菱の前身の会社が開発した。エーザイの乳がん治療薬「Halaven」は海綿の成分から作られた。
記者: Peter Landers

原文(英語):Not Far From the Tree: Apples Lead Japan Scientists to New Drug
記事へのリンク

http://realtime.wsj.com/japan/2013/04/01/%E7%94%B0%E8%BE%BA%E4%B8%89%E8%8F%B1%E3%81%8C%E9%96%8B%E7%99%BA%E3%81%97%E3%81%9F%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85%E3%81%AE%E6%96%B0%E8%96%AC%E2%80%95%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B4%E3%81%AE%E6%9C%A8%E3%81%AE/