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急性気管支炎へのNSAID や抗菌薬は治癒を早めず

イブプロフェン、アモキシシリン-クラブラン酸をプラセボと比較
変色痰を認めるが合併症はない急性気管支炎患者にイブプロフェン、アモキシシリン-クラブラン酸またはプラセボを投与し、症状の持続期間を比較したランダム化比較試験(RCT)で、それぞれの群の間で咳嗽持続期間に有意差は見られなかった。スペインRovira i Virgili 大学のCarl Llor 氏らが、BMJ 誌電子版に2013 年10 月4 日に報告した。
咳を主な症状とし、変色痰を認めるものの合併症はない急性気管支炎でプライマリケア医を受診する患者は多い。こうした急性気管支炎は治療なしでもやがて回復するが、咳は最長4 週間程度持続することがあり、再受診の原因になる。
急性気管支炎は主にウイルス感染によって発症する疾患で、細菌の関与は明らかではないが、抗菌薬が処方されることが多い。また、下気道感染患者に多く処方される非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)が咳嗽持続期間の短縮に役立つかどうかは明らかでなかった。
著者らは、変色痰を認めるが合併症はない急性気管支炎患者の咳嗽に対するNSAIDs、抗菌薬の影響をプラセボと比較する単盲検の多施設RCT をスペインのプライマリケアセンター9 カ所で実施した。

10 年4 月〜12 年1 月に呼吸器感染症状が表れてから1 週間未満で、主な症状が咳嗽であり、変色痰が認められ、それ以外に1 つ以上の下気道感染症状(呼吸困難、喘鳴、胸部不快感、胸痛など)がある18〜70 歳の患者を登録した。
患者をイブプロフェン600mg/回、アモキシシリン-クラブラン酸(アモキシシリン500mg およびクラブラン酸125mg/回)、またはプラセボにランダムに割り付け、1 日3 回、10 日間投与し、30 日後まで追跡した。症状の継続期間は患者の日記を利用して判断した。日記には気管支炎の重症度、日中の咳、夜間の咳、日常活動の制限、熱感の程度をスコア0〜4 で記録するよう指示した。
主要転帰評価指標は、咳嗽症状が持続した日数に設定。日中の咳、夜間の咳のスコアがいずれも1以上であった場合を「咳あり」と判断し、intention-to-treat 解析を行った。1 次評価指標は、割り付けから、日記に記録された5 通りの症状のいずれかのスコアが1 以上だった最後の日(翌日以降症状なし)までの日数の中央値とした。
416 人(平均年齢は45.1 歳、44%が男性)の患者を登録し、136 人をイブプロフェン群、137 人をアモキシシリン-クラブラン酸群、143 人をプラセボ群に割り付けた。症状を適切に記録した日記を提出したのはこのうち390 人だった。
咳嗽継続日数はイブプロフェン群が9 日(95%信頼区間8-10)、アモキシリン-クラブラン酸群が11日(10-12)、プラセボ群が11 日(8-14)で、各群間で統計学的有意差は見られなかった(ログランク検定のP=0.25)。イブプロフェン、アモキシシリン-クラブラン酸ともに、咳嗽消失の可能性を上昇させず、プラセボと比較したハザード比はそれぞれ1.23(0.93-1.61)、1.03(0.78-1.35)だった。
2 次評価指標とした割り付けから5 通りの症状のいずれかのスコアが1 以上だった最後の日までの日数の中央値は、イブプロフェン群が10 日、アモキシシリン-クラブラン酸群が11 日、プラセボ群が13 日で、やはり有意差は見られなかった(ログランク検定のP=0.12)。治療に関連する可能性のある有害事象は、27 人に34 件認められた。有害事象が最も多かったのはアモキシシリン-クラブラン酸群で、12%(16人)が経験していた。イブプロフェン群では5%(7 人)、プラセボ群は3%(4 人)で、イブプロフェン群、プラセボ群とアモキシシリン-クラブラン酸群との差は有意だった(P<0.01)。有害事象は多くが軽症だった。
著者らによると、変色痰が認められるが合併症のない急性気管支炎の患者に対するイブプロフェンまたはアモキシシリン-クラブラン酸の投与が、プラセボに比べて咳嗽の継続日数を減らさないことを示した研究はこれが初めてだという。