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米国 高齢者救急部門における診療ガイドライン(GL)

米国救急医学会(ACEP),米国老年医学会(AGS),米国救急看護協会(ENA),学術救急医療学会(SAEM)は3月11日,高齢者救急部門における診療ガイドライン(GL)を発表した。高齢者人口の急速な増加により患者ケアの向上だけでなく,医療体制の維持,医療費などの負担への考慮が求められており,ガイドラインによる標準化でこれらの目的を実現していくのが狙い。
救急部門受診者の43%が65歳以上

 GLは4団体の2年にわたるコンセンサス形成に基づき策定された。序文では,2000〜10年における65歳以上の人口の増加率は全人口を上回るペースであり,85歳以上の増加率は全人口増加率の約3倍に上るとのデータが紹介されている。また,米国では救急部門受診者の43%が65歳以上で,若年の患者に比べ滞在時間が長い,医療資源をより多く必要とする,社会的支援が明らかに必要と見られる患者が多いといった特徴が明らかになっている。

 高齢者救急部門は米国で2008年から導入されており,その数は増え続けている。また,同部門は,高額な医療費を要する入院加療を選ぶか,低額な外来治療で対応するかを判断する役割も担っていることから,GLにより患者ケアの質の向上,安全性の確保と同時に医療資源の有効活用につなげていきたいと意義を説明。同様の仕組みは小児医療や一部の領域(ST上昇心筋梗塞,脳卒中,外傷)で取り入れられており,成果が得られてきたところと述べている。
全受診例に対し「服薬リスト」の早期作成を推奨

 同GLでは高齢者救急部門で求められるスタッフおよびサービスの構成,医療の質向上に求められる計画および評価に関する項目の他,患者の安心や安全に配慮する上で必要な設備などについて言及している。

 高齢者の診療の質を向上させる上で必要な各種のアプローチとしては,アットリスク者や被虐待あるいはネグレクト疑いの評価に関する項目の他,譫妄や興奮,導尿カテーテルや転倒リスク,褥瘡などの評価,治療に関するアルゴリズムを含む推奨プロトコルが記載されている。

 また,高齢者救急部門を受診した患者すべてに求められる対応として,当直医と担当看護師が服薬リストを可能な限り,受診から早期に作成すること,薬剤部はBeers criteriaなどに基づき薬物相互作用や高齢者における有害事象の高リスク薬のリストを作成し,情報を更新していくことが推奨されている。

 高リスク薬のリストに含めるべき薬剤としては@抗凝固薬および抗血小板薬,A血糖降下薬,Bジゴキシン,アミオダロン,β遮断薬,Ca拮抗薬を含む循環器用薬,C利尿薬,D麻薬・麻酔薬,E抗精神病薬およびその他の精神症状治療薬,F化学療法薬を含む免疫抑制薬―が挙げられている。

 GLでは患者が服用している薬が5剤を超える場合を「多剤併用(polypharmacy)」と定義,入院が必要と判断された患者で多剤併用が懸念される,あるいは高リスク薬を使用している場合には薬剤師を含む多領域の医療者への照会を行い,薬剤相互作用や多剤併用,高リスク薬の使用を最小化することを推奨。入院が不要と判断された場合にも,かかりつけ医に対し処方内容の見直しを含めた照会を行うよう求めている。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1403/1403057.html