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プライマリケア医はα1遮断薬の開始前に白内障の問診を

「プライマリケア医はα1遮断薬の開始前に白内障の問診を」の理由とは?

米の関連学会が相次ぎ情報提供

 「プライマリ医は前立腺肥大症(BPH)などの適応で患者にα1アドレナリン受容体遮断薬(α1遮断薬)を開始する前に白内障に関する問診を」−米国家庭医学会(AAFP)が米国白内障屈折矯正手術学会(ASCRS)と米国眼科学会(AAO)の呼びかけを,4月15日の公式ニュースで報じた。その理由とは?
白内障手術中の合併症に関連,グレアや羞明を生じることも

 ASCRSとAAOのリリースによると,白内障による手術は米国で年間300万件以上行われている他,BPHによる下部尿路症状に対し,α1遮断薬が第一選択に使用されている。

 そんな中,最近,同薬が前立腺や膀胱の平滑筋緊張に関連するα1アドレナリン受容体の阻害を介して,平滑筋の弛緩に働くと同時に,瞳孔を調節する筋肉(瞳孔散大筋,iris dilator muscle)にも影響を与え,白内障手術中の術中虹彩緊張低下症候群(intraoperative floppy iris syndrome: IFIS)と呼ばれる合併症を引き起こすことが2005年ごろから報告され始めている(J Cataract Refract Surg 2008; 34: 2153-2162)。

 両学会によると,IFISにより高い割合で虹彩の障害によるグレアや羞明が起こることが分かってきており,これまでの大規模前向き研究からは,米国でBPHに対し最も処方されている選択的α1遮断薬タムスロシン(商品名ハルナールなど)を使用していた患者の多くに白内障手術により中等度から重度のIFISが生じていたとのデータも示されていると述べている。
手術前の薬剤中止では予防できず,ただし事前に手術医に伝えれば対応可能

 また,タムスロシンのような選択的α1遮断薬ではなく,非選択性の薬剤を含む全てのα1遮断薬によりIFISが引き起こされる可能性があると両学会。ただ,現時点のデータからはタムスロシン使用と重度IFISの増加の関連が示されていると説明している。

 IFISは通常手術前のα1遮断薬中止で予防できない他,虹彩色素顆粒(iris pigment granules)内への薬剤成分の蓄積により瞳孔散大筋の不可逆的な萎縮が起こる可能性があるとも指摘。ただし,患者の薬剤使用歴を眼科の手術担当医が事前に把握できていれば,手術そのものの難易度は高まるものの,IFISに対する特異的な手技による対応で無事に手術を完了できることが多いとも述べている。
認知度の低さに懸念「未手術例にはまず非選択的α1遮断薬」「本格治療開始前の眼科受診」を推奨

 両学会がα1遮断薬を使用する医師に対し,懸念を示しているのは同薬によるIFISの認知度が低い点だ。最近,プライマリケア医を対象に行った調査からは,α1遮断薬による白内障手術への影響を知っていた医師は回答のあった医師の約35%,さらに実地臨床でこうした点を考慮していると答えた医師はさらに少ない17%のみであったと指摘。

 こうした実情を踏まえて両学会はBPH診療に関わる家庭医やプライマリケア医に対し,緊急の場合を除き,α1遮断薬使用の際は患者に白内障の有無,また,近いうちに手術が必要となる可能性があるかを検討するよう要請。その上で白内障があり,早期に手術治療を考慮する必要があれば,まず非選択的α1遮断薬でBPHなどの治療を開始してほしいと呼びかけている。

 両学会の関係者は「白内障,BPHはいずれも高齢者に多い疾患であり,今後白内障手術で難しい対応が迫られる場面が増えることを多くの眼科医が懸念している」と両者の連携により,患者の合併症を減らす努力が重要と話している。

 また,AAFPニュースでは「両目の水晶体が既に摘出されている場合,使用すべきα1遮断薬の考慮は必要ない」こと,「もし白内障があり,視力の低下が進んでいる場合にはα1遮断薬を慢性的に使用する前に白内障手術の適応を判断するために眼科医を受診するようアドバイスする」ことなどが示されている。
日本ではリスペリドン,パリペリドンに関連するIFISで注意喚起も

 なお,日本や英国では最近,α1遮断薬だけでなく,α1アドレナリン拮抗作用を有する抗精神病薬〔リスペリドン(商品名リスパダール),パリペリドン(同インヴェガ)〕の使用経験がある患者におけるIFISの報告があったとして,事前に眼科医に同薬使用歴を伝えるようにとの注意喚起が行われている。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1404/1404065.html

(だいぶ前から知られていることで、添付文書にも記載があります・高橋)