最新情報
 

スタチン使用者は大食いになっている? ガイドラインと反する実態が明らかに

スタチン使用者は大食いになっている? ガイドラインと反する実態が明らかに

米NHANESの反復横断調査

 各種ガイドラインでは,動脈硬化性疾患予防を目的とした脂質異常症治療において食事内容の改善も重要な構成要素とされている。しかし,スタチン使用者ではスタチン非使用者に比べ,経時的にカロリーや脂質の摂取量が上回る「大食い」になっていたとの驚きの結果が示された。東京大学の杉山雄大氏らが米国保健栄養調査(NHANES)の1999〜2010年における反復横断調査で明らかにした(JAMA Intern Med2014年4月24日オンライン版)。
1999〜2000年は非使用者に比べカロリー摂取が有意に減少

 各種脂質管理ガイドラインでは,食事内容の改善が脂質異常症治療の主要な構成要素であることが一貫して示されていると杉山氏ら。スタチンはこの25年で脂質異常症薬物療法の第一選択薬として広く使用されている他,米国成人のカロリー摂取量は1970〜90年代にかけて増大したものの,この10年はプラトーに達していると指摘する。一方,スタチン普及に伴うカロリー摂取状況への影響については検討がなかったと述べている。

 同氏らはNHANESの1999〜2010年における20歳以上の2万7,886人のデータについて,反復横断調査を実施した。

 1999〜2000年においては,スタチン使用者で非使用者に比べカロリー摂取量が有意に減少(2,000 vs. 2,179kcal,P=0.007)。しかし時間とともに両群の差は小さくなり,2005〜06年には有意ではなくなった。
2009〜10年には10年前に比べカロリー・脂質摂取量,BMIが有意に増加,非使用者では変化なし

 さらに2009〜10年のスタチン使用者のカロリー摂取量は1999〜2000年当時に比べ,9.6%有意に増加していた(95%CI 1.8〜18.1,P=0.02)。スタチン非使用者では,2つの同じ時期においてカロリー摂取量の有意な変化は見られなかった。同じ時期における脂質摂取量の変化についてもスタチン使用者では有意に増加(14.4%,95%CI 3.8〜26.1,P=0.007)していた。

 各種因子を調整したモデルによる同期間のBMIの変化についても,スタチン使用者(1.3上昇)では非使用者(0.4上昇)に比べ,有意に増大していた(P=0.02)。
「スタチン使用者への食事改善が徹底されなくなっている」米GLの“スタチン推し”にも懸念示す

 杉山氏らは,今回の検討からスタチン使用者では,カロリーおよび脂質の摂取量の経時的な増加が認められた一方,非使用者では同様の変化は見られなかった他,BMIはスタチン使用者で非使用者に比べ,より早く増加していたと評価。スタチン使用者では食事改善の取り組みが徐々に徹底されなくなっている可能性があると指摘した。

 また,最近発表されたACC/AHAの脂質管理ガイドラインでは,生活習慣の改善が心血管疾患リスクの低減の基本とされているものの,スタチンの適応対象を拡大する推奨が示されている点にも言及。今回の同氏らの調査結果から推測すると,さらに食事指導に従わないスタチン使用者が増える可能性があるとの懸念を示した。その上で,肥満や糖尿病患者の増加やそれにともなう医療費の増大が問題になっている米国において,カロリーや脂質の過剰摂取,体重増加につながる要因への介入を行うことなく,スタチン使用を推奨することが公衆衛生上容認できる対策なのかを,考える必要があると述べている。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1404/1404082.html