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正しく恐れるデング熱 

大学でさらっとは学んだものの、見たことのない病気であるし、行政の発表では今ひとつぴんときません。その点で、以下の毎日新聞の報道は、さすが物書きが職業のブンヤさんの書くものは官僚の作文とは違って迫力がありますから、皆さんの患者さんへの説明に 援用したら大いに役立つこと請け合いですので、抜書きしてご紹介します。長いですが、お時間のあります時に是非全文をお読みください。全文リンク

 特集ワイド:正しく恐れるデング熱 毎日新聞元特派員も重症体験「背中が
 紫色に…」 尿減少など悪化の兆しに注意

               毎日新聞 2014年09月08日 東京夕刊

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  まずは「体験者」の話を聞いてみよう。毎日新聞デジタルメディア局の小松健一局次長(56)。身内の話で恐縮だが、タイ・バンコクのアジア総局に勤務していた2003年、3カ月の間に2回もデング熱に感染し、死を覚悟するほどの重症に陥ったのだ。

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 この病気、特効薬もワクチンもないから、基本は静養して体の免疫機能がウイルスをやっつけるのを気長に待つしかない。自宅で休み、3日目に熱は下がった。「死者も出る病気と聞いていたのですが、僕は熱で体がしんどい以外は症状が何もない。ふーん、こんなものか、と」

 問題は「2度目」だった。当時、中国からラオス、タイを経て亡命する北朝鮮脱出者が相次いでいた。実態を探るためタイ北部とラオスで3日間、取材に駆け回り、バンコクに戻って連載記事を書き始めた直後−−。「連載1回目の原稿を東京に送って自宅に戻り、シャワーを浴びたんです。すごくおなかがペコペコで、晩ご飯を楽しみにしながらタオルで体をぬぐっていた。足をふこうとかがんだ瞬間、ドワッと顔が熱くなり、悪寒が体中を走って……」

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 翌日の昼、ベッドで目覚めると、なんと背中一面が内出血で紫色に変じていた。全身の血管から血液や血漿(けっしょう)成分が漏れる重い「デング出血熱」へと症状が進んでいたのだ。

 「入院中、トイレには必ず看護師と一緒に行くよう注意されました。もし転倒したら内臓から出血するから、と……。ベッドに横になりながら『このまま眠ったら、もう目が覚めないんじゃないか』との思いが脳裏をよぎったのを覚えています」

  点滴を打ち続けて3日目にようやく快方に向かい、6日目に退院した。熱が下がるまでの記憶はほとんどない。「蚊の多い農村地帯などに入る時は長袖を着て、 首筋も布などでガードするのが原則。あの取材ではつい油断して半袖で通してしまって。土地の病気には割と詳しいつもりだったのですが」

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 伝染病に詳しい内科医でナビタスクリニック立川(東京都立川市)理事長、久住英二さんは「デングウイルスは四つの型があり、ある型に感染した後、別の型に感染したら重症のデング出血熱に至ることがあります。でも、そのメカニズムは完全には分かっていません」と解説する。

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 久住さんは言う。「海外との交流が活発になればなるほど、日本になかった病気が流入するリスクは大きくなる。いっそデング熱を奇貨として、海外のさまざまな病気に関心を向ける機会と受け取ってはどうでしょう」

 敵を知り、己を知れば百戦して危うからず。「正しく恐れる」ことがデング熱克服への近道であるようだ。