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高齢者に対する2型糖尿病の薬物治療は多くの場合利益よりも害の方が大きい

 ロンドン大学と米国ミシガン大学の研究者たちは、英国の5000人以上の2型糖尿病患者を対象とした20年にわたる前向きの研究(UKPDS)データを用いた。研究者たちはとりわけ、腎臓、眼、心疾患などの糖尿病合併症に対する有効性に着目し、それらのリスクを減少させる有効性と、副作用が増加するリスクおよび経口剤や注射剤(インスリン)を摂取する負担(burden)を比較した。研究はJAMA Internal Medicine誌に発表した。

 結果は多くの患者にとってこれらの糖尿病治療剤摂取の利益は、副作用などの治療にともなうリスクや負荷がそれを上回るほど小さかった。加齢とともに利益は低下し、75歳ではほとんど害が上回った。

 ロンドン大学のユドキン名誉教授は、薬物治療は血糖値低下自身が目的でなく、消耗性・致死性の合併症の予防にあり、これらの合併症のリスクが低く治療による負荷が高ければ、治療は利益よりも害をもたらす、このバランスは血糖値のような単純な値ではわからない、と強調した。さらに、薬物治療の典型はHbA1cを8.5%から約1%下げ、45歳の患者では健康な生存を10か月延長するが、75歳の患者では3週間しか延長しない。このために10-15年にわたり服用や注射を続けるかは究極的に患者次第と、注意を喚起した。

 様々な治療が生活の質(QOL)に及ぼす影響は、副作用プロファイルだけでなく、患者のとらえ方によっても違っている。とりわけ、インスリンは毎日注射が必要で体重増加を来たすので患者のQOLに対する影響が大きい。

 研究者たちは、今回の結果はHbA1ctが8.5%以下のほとんどの2型糖尿病患者に該当し、利益が害を上回るのは非常に高い血糖値レベルの患者の3分の1に過ぎないと語った。

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