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BMJクリスマス特集

BMJクリスマス特集
 日本国内でも一般に人気の一方,しばしば医療者の批判の的となるテレビの健康情報番組。医師が出演していると,その内容がより信頼できるもののように見えるが,実際はどうなのか。カナダ・University of AlbertaのChristina Korownyk氏らは,医師がホストとして出演する人気健康情報番組の内容を検証。番組が勧める健康情報のうち,エビデンスによる裏付けが確認されたのは半分程度だったとの報告がBMJクリスマス特集で紹介された(BMJ 2014; 349: g7346)。同氏らは視聴者に対し,こうした番組の放映内容をうのみにしないよう呼びかけている。

米国で制作の人気番組を検証

 今回検証の対象とされたのはThe Doctor Oz Show(Dr Oz)とThe Doctors(Doctors)。いずれも米国で制作され,国際配給されている人気番組だ。前者はUniversity of Colombiaの心臓外科教授Mehmet Oz氏が,後者は救命救急医Travis Stork氏の他,産婦人科医や小児科医,家庭医,性科学者ら6人の医師が日替わりでホストを務める。

 Korownyk氏らによると,特にDr Ozで取り上げられる健康情報には,これまでにも医療者から疑問や批判の声が挙がっている。しかし,こうした番組で扱われる医学情報が全体的に適切かどうかは分かっていないとして今回の検討を実施した。

54%になんらかのエビデンス「エビデンスがない」または否定的な内容も

 昨年(2013年)始めに両番組で放映されたエピソードをそれぞれ40件ランダムに選び,その中から番組で推奨されていた健康情報にエビデンスによる裏付けがあるかなどを評価した。

 ちなみにこの研究,家庭医学を専門とするKorownyk氏をはじめ,薬学,生物統計学,リサーチアシスタントなど複数の医療・専門職14人からなるDoctors顔負けのチームが著者として名を連ねている。

 検討期間中の各番組40エピソードで放映されていた推奨内容(1つの話題につき約4〜5件の推奨が含まれている)からそれぞれ80件,計160件の推奨をランダムに抽出した。このうち,少なくとも1例報告,あるいは比較的質の高いエビデンスが見つかったのは全体の54%(95%CI 47〜62%)だった。

 番組別では,Dr Ozで放映された80件の推奨のうち,エビデンスの裏付けがあったのは46%。一方,エビデンスに反していたものが15%,エビデンスが見いだせなかったものが39%に上っていた。Doctorsで放映された80件のうち,エビデンスの裏付けがあった推奨は63%。エビデンスに反していたものは14%,エビデンスが見いだせなかったものは24%だった。

推奨内容のCOI開示は全体の0.4%

 健康情報に関する推奨が最も多かったカテゴリーはDr Ozでは「食事に関するアドバイス」,Doctorsでは「医師の診察を受ける」ことに関するものだった。検討対象期間に放映された924件の推奨のうち,推奨内容の利益相反情報が開示されたのは4件(0.4%)にすぎなかった。

ホスト医師本人による推奨は26%のデータも

 医師たちがホストを務めるとはいえ,全ての推奨を本人たちが伝えているとは限らない実態も分かった。Dr OzではOz氏本人による推奨は26%(479件中125件)に対し,ゲストによる推奨は65%(同310件)に上っていた。Doctorsでは医師らによる推奨は65%(445件中290件)に対し,ゲストによる推奨は33%(同146件)だった。

「ベネフィットある」具体的な説明ないまま放映されることも

 健康情報に関する推奨によるベネフィットに言及していた割合は各番組で90%以上と高かった。

 しかし,その推奨によるベネフィットが明らかでなかったものは両番組内容の57.4〜58.7%に上っていたとKorownyk氏らは指摘,Dr Ozでの1例を紹介している。それによると「ビタミンEによる脳力アップがベネフィットと考えられる」との見方を示す一方,そのベネフィットが目に見える,あるいは測定可能なものなのかは検討されておらず,脳力の増加の程度についても触れられていなかったと説明している。

 同氏らは今回の検討から,健康情報番組で放映される推奨内容はベネフィットに関する適切な情報に欠けることが多いと結論。視聴者はこうした番組で流される健康情報をうのみにしないよう呼びかけている。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1412/1412053.html