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PPIが心筋梗塞をはじめ心臓や血管の病気になるリスクを高める可能性

「胸やけ」の薬で心筋梗塞のリスク2割増加、1600万件のデータの分析結果が判明

米国スタンフォード大学などからの報告

「プロトンポンプ阻害薬」(PPI)は、胃酸の分泌を抑えて「胃食道逆流疾患」(逆流性食道炎ともいう。胃酸が食道まで上がってくる、いわゆる胸やけ)を緩和する薬として世界的に広く処方され、低用量の市販薬もあることから、米国では毎年14人に1人がPPIを利用している。

 そのPPIが、健康な人でも将来の心筋梗塞をはじめ心臓や血管の病気になるリスクを高める可能性が判明した。

 米国スタンフォード大学を含む研究グループが、オンライン科学誌プロスワン(PLoS One)で2015年6月10日に報告した。
血管に影響する可能性
 PPIは、急性の冠動脈疾患の治療後に血液を固まりにくくする「クロピドグレル」という薬を服用している人以外は安全とされ、米国では毎年1億件以上が処方されている。冠動脈は心臓に血液を供給する血管で、この血管が狭くなると狭心症、詰まると心筋梗塞となる。

 研究グループによると、最近の研究で、クロピドグレルとは無関係にPPIが血管に影響を及ぼして心血管リスクを高める可能性が報告されるようになってきていた。

 血管の健康を維持するための仕組みに変化が起きるためと見られている。血管を形作る内皮細胞では一酸化窒素と呼ばれる物質が作られている。この生成がPPIによって妨げられるというものだ。

 研究グループは、医者のメモを含む膨大な量の電子データから医薬品の健康影響を探ることができる「データマイニング」という新しい手法を使い、さまざまなデータベースから290万人に関する1600万件以上の医療記録を調べ、胸やけでPPIを服用した人としなかった人で心臓発作の発生率を比較した。
H2ブロッカーは関連せず
 その結果、胃食道逆流疾患でPPIを使用した人は、使用しなかった人よりも心筋梗塞になる確率が16〜20%高かった(分析の手法によって数値が異なった)。45歳未満の他に病気のない人でも、PPI使用者は確率が高かった。

 さらに、胸の痛みや息切れのある1500人を対象とするある観察研究の結果を分析したところ、PPI使用者は心停止や脳梗塞などの心臓血管の病気による死亡率が2倍で、この関連性はクロピドグレルの使用とは無関係だった。

 やはり胃食道逆流疾患の薬としてPPIより先に出回り、現在もPPIに次いで多く使用されている「H2ブロッカー」は、心臓血管の病気のリスクと関連しなかった。
「必ずしも中止はしなくとも再考を」
 研究グループは、これらの関連性を因果関係と呼ぶことはできないし、単純に服用を止めることを勧めるものではないとしつつも、頻繁に、しかも長期間服用することの多い薬であるため、医者も患者も服用を決める前に少し再考するべきと述べている。
文献情報
Some heartburn drugs may boost risk of heart attack, study finds
http://med.stanford.edu/news/all-news/2015/06/some-heartburn-drugs-may-boost-risk-of-heart-attack-study-finds.html
Shah NH et al. Proton Pump Inhibitor Usage and the Risk of Myocardial Infarction in the General Population. PLoS One. 2015 Jun 10;10:e0124653.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26061035

http://www.mededge.jp/a/oper/14747