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痛み止めとして医療用麻薬を処方する医者

痛み止めとして医療用麻薬を処方する医者、正しい知識を持っていたのは半数だけ

米国で増え続ける依存症、防ぐには医者の正しい知識から

米国は、痛みの治療に医療用麻薬のオピオイドを使う量が他の国より多い。実際、過剰投与による死亡や依存症の増加が問題となっている。このたび、米国の1000人の医者を対象に、オピオイドについて正しい知識を持っているかなどについての調査が行われた。
強い痛みには「オピオイド」
 米国ジョンズ・ホプキンス大学を中心とした研究グループが、痛みについての国際誌、クリニカル・ジャーナル・オブ・ペイン誌のオンライン版で2015年6月22日に報告した。

 日本では高齢化社会に向け、地域医療に重点が置かれ始めている。中でも重要視されているのが「プライマリケア」。プライマリケアは身近にあって何でも相談に応じてくれる総合的な医療。在宅診療から地域の保健まで、住民の健康に貢献してくれるものだ。

 プライマリケアは主に先進諸国で行われている。米国のプライマリケア医は、他国と比べて医療用麻薬「オピオイド」を処方する量が多い。特に、腰痛や末期がんの痛みに対する鎮痛薬として使っている。
事故死や依存症が社会問題に
 米国ではオピオイドの処方量が多いことがきっかけで、過剰投与による事故死や依存症の増加などが重大な社会問題にもなっている。プライマリケア医はこういったオピオイドの問題をどれだけ把握しているのだろうか?

 今回研究グループは、プライマリケア医に対し、オピオイドに関する知識や、オピオイドによる依存や死亡を防ぐための介入を支持するかどうかなどについて、調査を行った。

 対象となったのは、米国の内科医、家庭医、一般開業医、合わせて1000人。郵便でのアンケートを、2014年2月から5月の間で実施した。
医者の知識の現状が明らかに
 回答を返送してくれた医者は58%だった。回答した全ての医者(100%)が、処方薬の乱用は、その人を取り巻く環境の問題であると答えていた。

 医者の問題ではないと答えているとも取れる。では、乱用に関する医者の知識は正しかったのだろうか?

 「乱用で最も多いのは錠剤を口から飲む方法である」と正しく回答できた医者は、全体の3分の2(66%)だけだった。また、約半数の46%が、「乱用阻止性オピオイドは中毒性が少ない」と間違って答えていた。

 乱用阻止性オピオイドとは、錠剤を粉砕して吸入したり溶かして注射したりできないようにしたオピオイドで、中毒性が変わるものではない。

 さらに、4人に1人(25%)は、オピオイドが非合法な薬となる可能性について、ほとんど心配していない、あるいは全く心配していないと答えていた。

 必ずしも全員が正しい知識を持っているわけではないと分かった。
乱用防止の介入は支持
 一方で、ほとんどの医者が、処方されたオピオイドの乱用を防ぐ介入を支持すると答えた。

 それぞれ、「薬を飲む人に乱用しないと約束をしてもらう」は98%、「定期的に尿の薬物検査を行う」は90%、「オピオイドを処方する前に中央データベースを確認して他での処方がないか調べる」は88%、「オピオイドのマーケティングや販促により大きい制限をつける」は77%〜82%が支持すると答えていた。
薬を減らすのを躊躇している
 全ての医者が介入を支持したものの、3分の1(33%)は、オピオイドの乱用を防ぐための介入を実際に行った場合、本来の目的である痛みを和らげる治療に大きな影響を与えることになるだろうと答えていた。

 医者の正しい知識と協力が、乱用の防止につながっていくのだろうと研究グループは述べている。
文献情報
Survey: Many Doctors Misunderstand Key Facets of Opioid Abuse
http://www.jhsph.edu/
Hwang CS et al. Primary Care Physicians’ Knowledge And Attitudes Regarding Prescription Opioid Abuse and Diversion. Clin J Pain. 2015; Jun 22. [Epub ahead of print]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26102320

https://www.mededge.jp/a/psyc/16556