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向精神薬の多剤処方 減算改定も効果は限定的

【医療経済研究機構】減算改定も効果は限定的‐向精神薬の多剤処方を検討
抗不安薬や睡眠薬の高用量・多剤処方の減算による効果を分析
BZD 系薬の高用量処方、いまだ減らず
☆多剤処方の減尐効果は認められるが診療報酬改定の効果は限定的
医療経済研究機構は 8 月 21 日、抗不安薬や睡眠薬の高用量・多剤処方で処方料などを減算した
2012 年度および 2014 年度の診療報酬改定の効果に関する研究成果を報告した。減算対象薬である抗不安薬と睡眠薬の多剤処方を減尐させる効果は認められたものの、ベンゾジアゼピン(BZ)受容体作動薬の高用量・多剤処方を減尐させる効果は限定的だった。2.1%の患者において、最高臨床推奨用量の 3 倍を超える用量の BZ 受容体作動薬が依然として処方されており、「BZ 受容体作動薬の減尐施策の推進が必要であることが示唆された」としている。
抗不安薬や睡眠薬の大部分は、BZ 受容体作動薬だ。BZ 受容体作動薬の高用量・多剤処方は、特に精神科外来において高頻度に見られる。BZ 受容体作動薬は、作用機序や有効性、副作用が共通しているため、依存やふらつき・転倒などの副作用の発生リスクは用量依存的に上昇する。
こうした抗不安薬と睡眠薬の高用量・多剤処方を適正化すべく、厚生労働省は 2012 年度の診療報酬改定において、3 剤以上の抗不安薬または睡眠薬、4 剤以上の抗うつ薬または抗精神病薬を処方した場合は多剤併用として減算の対象とする減算規定を新設した(関連記事)。しかしこれまで、この減算規定による効果を検討した研究はなかった。
そこで医療経済研究機構研究部の奥村泰之氏らは、日本医薬総合研究所の処方箋データを 2 次分析し、精神科外来における処方が診療報酬改定前後でどのように変化したかを検討した。これは、調剤薬局 317 店舗で 2011 年 4 月から 2014 年 11 月に応需された、精神科(心療内科を含む)で亣付された処方箋を分析したもの。延べ 110 万 2575 枚を分析対象とした。
☆高用量・多剤処方への診療報酬改定による効果は限定的具体的には、BZ 受容体作動薬 33 剤をジアゼパム換算し、1 日の BZ 受容体作動薬の総投与量がジアゼパムの最高臨床推奨用量の 3 倍超(1 日 45mg 超)、2〜3 倍(1 日 30〜45mg)、1〜2 倍(1 日 15〜30mg)にそれぞれ相当する高用量処方の割合が、月ごとにどのように変化するかを検討した。
その結果、3 倍超の処方は、2011 年 4 月には 2.8%だったが 2014 年 11 月には 2.1%に減尐しており、2〜3 倍の処方も 4.6%から 3.7%、1〜2 倍の処方も 15.3%から 13.3%に減尐していた。ただし、この高用量処方の減尐は改定前から見られた傾向であり、減尐の程度は診療報酬改定前後で変化は認められていない。このため奥村氏らは「BZ 受容体作動薬の高用量処方への診療報酬改定による効果は限定的だった」と結論した。
実際、BZ 受容体作動薬が最高臨床推奨用量を上回って処方されている割合は、2011 年 4 月よりも減ってはいるが、2014 年 11 月時点でも 19.1%に上っている。
なお、BZ 受容体作動薬が 5 剤以上となる多剤処方割合を月ごとに検討すると、2011 年 4 月には1.8%だったが 2014 年 11 月には 0.9%に減尐していた。これは、2012 年度改定後から 1 年ごとに0.31%減の傾向として現れており、2014 年度改定後からは 1 年ごとに 1.03%減の傾向が確認された。
しかし、BZ 受容体作動薬が 2〜4 剤となる多剤処方割合については、診療報酬改定前後で減尐傾向に変化が認められなかった。
これらの結果を受け、奥村氏らは、「BZ 受容体作動薬の高用量・多剤処方への減尐効果は限定的であったため、BZ 受容体作動薬の減尐施策の推進が必要であることが示唆された」と結論した。この研究成果は、「臨床精神薬理 18 巻 9 号」にて発表された。