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高齢の糖尿病患者で過剰治療の可能性 治療目標値を達成していても減薬されない傾向

高齢の糖尿病患者で過剰治療の可能性 治療目標値を達成していても減薬されない傾向
高齢の 1 型および 2 型糖尿病患者では、治療によって血圧や血糖値が治療目標を達成していても減薬や休薬が行われていない患者が依然として多いことが、新しい研究で示された。
この報告によると、減薬や休薬される患者の割合は、HbA1c 値が 6.0%未満の低血糖リスクをもつ患者で 27%、血圧値が 120/65mm Hg 未満の患者では 19%に過ぎないことが明らかにされた。
「高齢になるほど過剰治療のリスクが増し、治療によるベネフィットは縮小していた。服用する薬剤の種類や投与量が多ければよいというわけではないことを、もっと強調していかなければならない」と、研究著者である米ミシガン大学(アナーバー)内科助教授の Jeremy Sussman 氏は述べている。
この知見は、「JAMA Internal Medicine」10 月 26 日オンライン版に掲載された。
同氏らは、2012〜2015 年の米国退役軍人健康庁(VHA)の記録から、2012 年に薬物治療を受けた糖尿病患者約 21 万 1,000 人のデータを用いて後ろ向きコホート研究を行った。対象全員が 70 歳以上で、降圧薬または血糖降下薬を服用していた。
なお、対象から、降圧を超えた作用をもつ ACE 阻害薬やアンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)の服用者と、危険な低血糖を引き起こすリスクが低く、血糖降下以外の作用をもつメトホルミンの服用者は除外した。
その結果、高齢の糖尿病患者では血圧や血糖値が目標値を達成していても、減薬や休薬の変更がなされていないケースが多いことがわかった。70 歳の高齢患者にとって、収縮期血圧 120mmHg 未満や HbA1c 6%未満は低すぎる値だという。また、過剰な降圧治療は、転倒や意識混濁、薬剤相互作用の増大をもたらし、低血糖も意識混濁や転倒、入院につながることが懸念される。
では、なぜ、医師は高齢患者に対し過剰治療を控えないのだろうか? 同誌の別の研究がこの疑問への回答を導き出している。
米アナーバー退役軍人省(VA)臨床管理研究センターの Tanner J. Caverly 氏らは、VA に勤める約600 人の医師を対象に過剰治療を行う理由について調査。その結果、医師の 3 人に 1 人は、「GL を超える目標値を達成することが患者の利益につながる」と考えていることがわかった。さらに、医師の半数近くは、減薬や休薬による自身の業績指標の低下を心配しており、4 人に 1 人は医療過誤訴訟のリスクを、5 人に 1 人は患者が動揺することを懸念材料として挙げていた。
米モンテフィオーレ医療センター(ニューヨーク市)臨床糖尿病センター長の Joel Zonszein 氏は、「高齢患者では、HbA1c は 7%未満まで降下させる必要はなく、治療の強度を調整する必要が生じることにも注意が必要だ。高齢になるほど患者は病気がちになり、それまでと同じ治療を行っても低血糖や低血圧を引き起こす可能性がある。医師は臨床的な判断を活用し、より患者中心の治療を提供すべきだ」と述べている。