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アルコール消毒はノロウイルスに有効

厚生労働省は2015年6月「ノロウイルスに関するQ&A」を改訂,消毒用エタノールについて失活効果なしから一定の効果を認める記述に変更した(関連リンク参照)。しかしながら現在も「ノロウイルスにアルコール消毒は効かない」と信じる向きは多い。第31回日本環境感染学会総会・学術集会(2月19〜20日,会長=京都大学大学院臨床病態検査学教授・一山智氏)において,山口大学病院薬剤部准教授の尾家重治氏は消毒用エタノールがノロウイルスに対し有効であることを示すとともに,適切な使い方について解説を行った。

根強く残るウイルスにアルコールは無効伝説

 アルコールがノロウイルスに効かないと思い込まれている理由には2つあるという。

 1つはノロウイルスに対する消毒効果の解釈の問題。ヒトノロウイルスは培養不能のため,消毒薬の評価には2種の代替ウイルスが用いられている。これまでの報告では,アルコールはマウスノロウイルスには有効であったものの,ネコカリシウイルスに対する効果にはばらつきが見られた。そのため「効かない」と判断されていると考えられる。これに対し尾家氏は,病態面でよりヒトノロウイルスに近いマウスノロウイルスの結果も重視すべきとした。

 もう1つは,アルコールはウイルスに効果がないという誤った評価を二度下されたこと(@ウイルス説当時のクロイツフェルト・ヤコブ病, AB型肝炎)。それが否定された現在でも「アルコールはウイルスに無効」という印象だけが根強く残っているのだという。抗菌スペクトルから見れば,効果に差はあれ「アルコールの効かないウイルスは存在しない」と同氏は述べた(図)。

アルコールの出番―有機物・木・紙・金属など

 ノロウイルス対策の第一選択は次亜塩素酸ナトリウムであるが,同剤が適しない条件は意外と多い。

 木材や有機物と接触すると抗ウイルス力が減弱するため,木製の手すりや椅子などの除菌には不向きである。パルプを原料とした紙も同様で,染み込ませた時点で効果が半減するという。患者の吐物に新聞紙をかぶせてその上から次亜塩素酸ナトリウムをかける,といった指導も一部ではなされているが,有機物+紙で二重に不活化されるため全く意味がない,と尾家氏は断じた。金属腐食性や刺激臭なども本剤を使用するシチュエーションを狭める。以上のような次亜塩素酸ナトリウムの使用が適さない場合には,同剤の改良製剤(ルビスタ®)かアルコールを活用すべきとした。

 なお,イソプロピルアルコールはノロウイルスなどエンベロープを持たない消毒薬抵抗性ウイルスに対する効果が弱いため,アルコールとして消毒用エタノールを用いる。本剤で清拭後,15秒おいて再清拭する「2度拭き」を行うことが望ましいという。近年,ノロウイルス用に効力を増強したアルコール製剤(手指用,環境用)も発売されており,適材適所で効果的なものを選択しノロ対策に臨むべきである,と同氏は講演を結んだ。

https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0325503023/