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薬効かない菌、鶏肉に拡大 厚労省調査、半数で検出 人の感染症治療に影響も

国産や輸入の鶏肉の半数から抗生物質(抗菌薬)が効かない薬剤耐性菌が検出されたことが、厚労省研究班の調査で 31 日分かった。健康な人なら食べても影響はないが、免疫力が落ちた病人や高齢者らの体内に入って感染すると、抗菌薬による治療が難しくなる恐れがある。
食肉検査所などで約 550 検体を調べ、全体の 49%から耐性菌が見つかった。家畜の成長を促す目的で飼料に混ぜて抗菌薬が与えられることがあり、鶏の腸内にいる菌の一部が薬剤耐性を持つなどして増えた可能性がある。
鶏肉から耐性菌が検出された例は過去にもあるが、研究班の富田治芳・群馬大教授は「半数という割合は高い」と指摘。家畜や人で「不要な抗菌薬の使用を控えるべきだ」と訴えている。
鶏肉の小売業者などでつくる日本食鳥協会は「耐性菌の低減には国の方針に基づいて積極的に取り組んでいきたい」とコメント。耐性菌に限らず食中毒を防ぐため、食べる前に十分に加熱するよう呼び掛けている。
牛や豚は今回の調査に含まれていない。家畜由来の耐性菌による感染症は医療現場で大きな問題となっており、先進 7 カ国(G7)首脳会議(サミット)でも対策が議論されている。
研究班は 2015〜17 年度に、国内 3 カ所の食肉検査所で集めた鶏肉や、ブラジルなど 5 カ国から輸入された鶏肉で薬剤耐性菌の有無を調査。その結果、全体の 49%から「ESBL産生菌」か「Amp
C産生菌」という耐性菌を検出。国産では 59%、輸入品は 34%だった。国内で抗菌薬の種類や使用量に大きな差はなく、全国的に同様の傾向とみられる。
これらの耐性菌は、肺炎などの感染症治療に広く使われる「第 3 世代セファロスポリン薬」がほとんど効かない。国内の病院を訪れた患者の体内から検出されるケースが増えており、院内感染の原因になると懸念されている。

※抗菌薬と薬剤耐性菌
感染症の治療に使われる抗菌薬への耐性を獲得した細菌を薬剤耐性菌という。薬を細胞内から排出したり、化学反応で分解したりすることで薬の効き目を弱める。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)などが知られる。薬の使い過ぎや、成長促進目的で家畜に与えることによって耐性菌は世界的に拡大。放置すれば 2050 年に年間 1 千万人が死亡する
との予測もあり、世界保健機関や日本を含む世界各国が協力して対策に乗り出している。