医薬品・注射針の回収
 
家庭に残ってしまった医薬品と注射針の回収を進めています。

2004.8.29 日本経済新聞
処方薬 飲み残しは廃棄 
不規則な食生活 服用時間に工夫

薬は飲み方を誤ると、思うような効果が得られず、副作用を招く。効かないからといって勝手な判断で量を増やすと命取りにもなりかねない。余った場合は捨てるのが賢明だ。効用とリスクとは背中合わせ――。気をつけたいイロハを紹介しよう。
「飲み残しが出たら、そのままにせず持ってきて下さい」――。横浜市にある日の出薬局では薬を処方する際に、1枚の黄色のポリエチレン袋を患者に手渡している。廃棄のため余った薬を無料で回収するのが目的だ。
使わず余った分を薬局に持ち込み処分してもらうのは欧州などでは当たり前の光景だが、国内では珍しい。横浜市薬剤師会は、スウェーデンでの実施例に倣って専用袋を作り、今月から市内約350の店頭で回収を始めた。「処方薬には説明書がない。誤飲を避けるためにも余った分は返却するようにしてほしい」と同薬局の薬剤師で横浜市薬剤師会理事を務める高橋洋一氏は訴える。
医師の診断をもとに病院や薬局でもらう処方薬の使用期限は、処方日数と覚えておこう。種類や服用量は診察時の病状から医師が決める。飲み忘れや病気が早く治っていらなくなったとしても、「後日、同じような症状が出たときのためにとっておこう」と勝手に判断するのは危険だ。
飲み残しがあった場合、次の診察時に医師にきちんと伝えるようにしたい。正直にいわないと医師側は「すべて飲んだ」という前提にたって診断するからだ。
風邪薬や鎮痛薬など処方せんがなくても購入できる大衆薬にも使用期限がある。外箱などに小さく表示されている。
注意したいのは、この使用期限が、未開封のまま直射日光を避けた涼しい場所で保管することを想定している点だ。開封すると変質しやすくなり期限は大幅に縮まる。手足のしびれを軽減する薬などビタミンB12を含む薬は光に敏感で変色すると効き目が悪くなりやすい。湿気に弱い錠剤や粉末薬もあり、べとべとになると品質が変わるという。
「薬はまさに生き物。時間がたつと成分が分解して効かなくなる」と東京慈恵会医科大学付属病院の北村正樹・薬剤部医薬品情報室長は説明する。1年に1度は古くなっていないか自宅の薬箱を確認することが大切だ。
薬の効果は血液中の濃度が一定割合を超えて初めて表れる。成分が食道や胃を通り腸から吸収されて体内を循環するまでにどうしても時間がかかる。鎮痛剤などを飲んでも30分ほど経過しないと痛みが治まらないのはこのためだ。すぐに効果が表れないからといって服用量を勝手に増やすのは危険だ。
米国救急医師学会が6月発表した調査で、米国人の半数が市販の鎮痛剤について飲み過ぎなどの誤用をしていることが判明した。毎年10万人強が胃腸管出血のような副作用を起こして入院、1万6千人が死亡しているという。
どれくらいの時間で効き始め、どの程度効果が持続するかは、種類や形状によって異なる。受け取る際に薬剤師に確認しておきたい。
大半の薬は「食前」「食後」「食間(食事から約3時間たった空腹時)」など食事を基準とする。服用を忘れないためには便利だからだ。抗生物質や糖尿病治療薬などは指示された服用時間を厳密に守らなければならないが、その他の薬だと食生活が不規則な人は工夫がいる。
例えば、仕事が忙しく夕食が大幅に遅れるケース。「食後」の薬だと、昼食後に飲み、約6時間経過した段階で軽いものを口にしてから再び飲む。遅くなる夕食を待つ必要はない。逆に前の食事との間が3時間以下しかたっていない場合は、服用を飛ばし3、4時間後に再び何かを食べてから飲む方がよい。
飲む際はコップ1杯の水かぬるま湯が最良。最近は様々な種類のミネラルウオーターが売られているが、「カルシウムやマグネシウム成分を多く含むものは、薬の吸収に影響が及ぶため要注意」(東京大学付属病院薬剤部)だ。
ビールなどのアルコールで流し込むのは避ける。酒好きにとって気になるのは、薬の服用中はどの程度時間をあければ、飲酒は問題ないかどうかだ。個人差があるが、ビール中瓶(500ミリリットル)1本分で血中のアルコールが分解されるまでに30代、40代の男性だと約2時間かかる。軽く酔いの回ったビジネスマンが水をもらって薬を飲む姿を居酒屋などで見かけるが、こうした習慣は改めたい。